地域薬学ケア専門薬剤師制度について思うこと。

2019年11月3日からの日本医療薬学会年会で、日本医療薬学会から創設を明示されたようです。
また、新設だけでなく、現在存在している認定薬剤師も「医療薬学専門薬剤師」に改めるなど、既存の認定制度についても見直しがされるようですね。

表題の制度は薬局薬剤師向けに作られた認定のようですね。日本医療薬学会は今まで病院薬剤師向けの認定だったのですが、薬局向けの認定を作ったのは新たな試みですね。


認定要件


・日本薬剤師研修センターや日本薬剤師会生涯学習支援システムのクリニカルラダー5以上など、
ベースとなる資格取得。
・実務経験5年以上
・学会会員歴
・学会発表または論文発表のどちらか。
・学会や研修会の参加
・50症例の報告
・5年間の研修
・認定試験の合格

となるようです。更新については明言されていませんでいたが、おそらく取得すれば更新は必要ないです。
ぱっと見、論文か発表のどちらかで良いので、今の薬物療法専門薬剤師の条件が少しゆるいバージョンでしょうか。ただ、5年間の研修というのが、研修施設で5年間臨床経験を積む必要があり、

・地域薬学ケア指導薬剤師がいる
・各専門薬剤師がいるなどの一定条件を満たし、基幹施設の「連携施設」として認定を受ける

の条件が必要になるようです。ここが結構難しそうですね。
指導薬剤師は認定薬剤師の上位版で、論文と発表両方が必要だったりと、少しハードルが高いですね。論文発表って、薬局で働きながらできるものなのでしょうか…総合病院などで論文書いたあとに薬局に転職するほうが現実的でしょうか。

どうせ薬局薬剤師対象にするなら、地域の方や地域包括ケアシステムの他職種とのコミュニケーションスキルも必要になるだろうし、そういった点を評価するようなものにしても良かったのでは、という個人的な意見です。でも数値化しづらいから難しいですかね。


この認定資格の立ち位置


日本医療薬学会は従来の認定薬剤師を医療薬学専門薬剤師制度に変更すると提言しています。
主な資格取得者を薬系臨床系教員と想定し、更新に5単位以上の論文執筆などが必要となるようです。
もともと医療薬学会の各種認定は、大学病院などの教育機関での取得を想定していそうな要件です。今回の地域薬学ケア専門薬剤師も教育機関が近くにないとなかなか取得は難しいと思います。
認定試験の内容はもちろんまだ不明なのですが、これまでの認定薬剤師の試験内容から考えると、投与量や相互作用など、薬剤師として必要な知識を聞かれるのかなと予想されます。

地域薬学ケア専門薬剤師を取得することで、臨床での技能と言うよりは研究に関する能力(発表にまでデータをまとめるなど)を担保するような資格になるのかなと思いました。なんだかんだ、臨床で生きる能力の担保って各種専門薬剤師ですよね。糖尿病療養指導士だったり、感染制御専門薬剤師だったり。そういう意味では、この資格はやや基礎よりな技能の目安になりそうです。

また今後詳細な情報が出てくると思うので、ちょっと注目していても面白いかもしれませんね。

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