職人と薬剤師。

最近、中堅層の研修会に行く機会が結構あったり、薬剤部内でも外部とのやり取りをしたり結構責任重大な仕事をしばしば振られており。
確かに自分ももう7年目だよなーもっとマネジメントとかコーチングとか、その辺りの勉強をしていかないとなーと思い始めている今日この頃です。
自分のいる薬剤部の中を見てみると、なんというか、下を育てる力がいまいち弱いよなと思うことが結構ありまして、いろいろ考えたのでちょっと文字に起こしてみることにしました。

職人技ということ



薬剤師、と言いますか、医師と分業された初めは明治時代と言われています。
明治時代は診断と薬の調合を1人で行っていたのが、
診断治療と薬の調合が職業としてはっきり分かれました。

それから薬剤師というのは処方箋に基づいて、いかに速く正確に調合(調剤)ができるかというところに重きを置かれていました。今でいう、「モノから人へ」の「モノ」の部分ですね。
まさに職人技なんでしょう。

ちなみに職人とは、某有名なネット百科事典の何とかペディアで見てみると、
「自ら身につけた熟練した技術によって、手作業で物を作り出すことを職業とする人」
とのことです。
今は薬剤師は免許を持っているので、マイスターという表現もできるかもしれません。

個人的には、この職人気質なところが今の薬剤師の世界にも残っていて、それが教えるのが下手なことにも寄与しているのかなと考えています。


職人気質



職人の持つ技術は文字で表現できないことを実現できる、他の人に真似できない能力なんでしょう。
また、文字で書いてあっても熟練しないとできない物なんだと思います。
音楽家なんかもそういった職人技なのかもしれません。

そういった技術は誰にでもできる物ではなく、師匠に弟子入りし選ばれし限られた人間のみが継承できるものなんだと思います。
そこには、弟子の熱い想い、「何としてでも自分の物にしよう」という強い意志があるのかもしれません。よく「技術は与えられる物ではない。盗め」とか聞いたりもしますが、結構こういうのって今の薬剤師も感じたことある人は多いのではないかな、と推測します。


モノから人へ


少し話は変わりますが、今は超高齢社会への突入により働き手は激減し、どこも人手不足となっています。
これまでのように、数多くいる中から選ばれた弟子が技術を習得し継承していくほどの人的余裕はありません。
「ウチのやり方が気に入らないなら辞めてもらうしかないね」で通用していたこれまでの時代とは全く異なるため、これでは正直組織は破綻してしまいます。
様々な人がうまく働けるよう、多様性を認める組織に変わっていく時期なのかもしれませんね。

また、身の回りの多くのものが機械化自動化され、単純作業であれば人がやるよりも早く正確にできるようになっています。
更に、インターネットやスマートフォンの普及により誰もが情報に気軽にアクセスできるようになっています。
AIもこれから普及していくと言われており、人手不足の解消が期待されると共に、単純作業を早く正確に行う職人は必要とされなくなる可能性がありますよね。

薬剤師の世界でも、「モノから人へ」が盛んに言われるようになり、モノを相手にする仕事ではなくなってきています。今年の0402通知も、そうした流れの一つです。


次の世代を育てるということ


そうなってくると、これまでの薬の調合職人の薬剤師のままではだめだと思うんですよね。目の前の患者さんを見て判断し、(質も量も)正しい情報を他の医療者に発信していかなければならない。
そしてそうした仕事がどの薬剤師でも一定水準以上できるように教育していく必要が出てくると思うんです。職人気質で「出来る奴だけ残れ」では薬剤師の質を保てなくなります。やはり次の世代の薬剤師を育てるということも、今まで以上に真剣に考えていかなければならないですよね。

じゃあどうすればよいのかということなんですけど、まずは部下後輩が育たないことを部下後輩の責任にしないことから始めるのがいいのかなと個人的には考えています。
そして、時代の変化に柔軟に対応し、自分が今までやってきたことが最高最善と思わず、新しいことを導入していくことも大切なんだと思います。
僕自身も具体的にどうすべきかはまだはっきりとはしていなくて、コーチングや行動分析学、マネジメントについて勉強して行こうかなと考えています。

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