疑義照会について個人的に思いついたことをまとめてみた。

突然ですが、皆さん、疑義照会していますかー?


…と、意味不明な始まり方をしていますが、薬剤師の仕事の一つに疑義照会がありますよね。

薬剤師法の第24条にも、「薬剤師は、処方箋中に疑わしい点があるときは、その処方箋を交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによって調剤してはならない」と規定されています。
用法用量が適切かどうか、などの確認を行い、必要であれば処方医に確認するという仕事ですね。こうして、薬剤師という存在がチェック機構として機能しているわけです。
ただ、「いろいろな事情」により、薬剤師の仕事の中でも精神的なストレスを受ける仕事でもありますね。個人的には結構苦手です笑
そこで、薬剤師も他職種連携を言われている今日、スムーズにコミュニケーション取られるような方法を考えてみました。


まず、疑義照会というものは相手ありきの所作になります。「彼を知り己を知れば百戦危うからず」といいますが、やはり相手の状況と自分の状況をよく知ることが大事だと思います。自分が病院薬剤師という立場上、病院でのケースが多めかもしれませんがそこはご愛嬌ということで…。

1)問い合わせをする時の医師についてよく知っておく。

医師は1日にかなり多くのタスクをこなしています(医師に関わらず、ですけど)。手術中や処置時、時間外などの忙しい時間は緊急の要件でなければ避けるほうがいいですよね。「ビオスリーが3錠分2になっているのを直してください!」なんていう急ぎでない要件は嫌がられるかもしれません。

医師にもいろいろな方がいます。いろいろ自分なりに方針を考えられている先生、様々な職種の考えを参考にして決められている先生、心臓外科医や精神科医など、性格や専門分野といったバックグラウンドも様々です(この文章、失礼になっていないよな?と結構気を遣っているつもり)。
循環器の先生に「カリウムが低いのでフロセミドを減らしてください」というのは相当の知識や覚悟が必要になるのではないのでしょうか。「そんなのわかっているよ」と言われるかもしれません。

2)問い合わせをする前に自分についてよく知っておく。

まずは自分の言動ですね。自分ではそんなつもりはなくても、相手に誤解を与えてしまうようなこともありますよね。無意識のうちに舌打ちをしていたり、相手を不機嫌にするような語尾だったり…自分の機嫌によってもそういうときってありますよね。恥ずかしながら、僕も不機嫌なときは結構トゲトゲしい言葉遣いになってしまいます。

それから、問い合わせする内容について自分がしっかり理解しているかを確認するといいですよね。添付文書の内容だけじゃなく経験的な使用方法や文献があるか、過去にその患者さんはどういう薬を使っていたか。カルテにも経過や方針が書いてあることもありますよね。しっかり情報収集をしておいて、代替案もいくつか思いつく限り考えておくとスムーズになりますよね。

あとは、「自分の正しい知識で説得しよう」と思わないということですね。
薬剤師は薬の専門家ですので、薬物動態などの知識は医師より詳しい場合もあります。勉強して得た知識やエビデンスは、もちろんより患者さんの治療を良くするために活かすのは大事なことです。
ただ、最終的な治療方針の決定は医師がしています。また、いろいろな背景やいろいろな人の思いがあって、処方がされています。学会でとある先生が、「ポリファーマシーは難しい問題です。処方というものに、いろいろな人の思いが詰まっているからです」とおっしゃっていました。薬の処方というのは、単純なエビデンスだけでなされるものではないんですよね。エビデンスも日頃からアップデートされて変化していくものですので、禁忌などの絶対避けなければならない処方以外は、医師やいろいろな人の意見も聞いてみてもいいのかなと思います。


それで自分の考えていることなんですが、

まず、疑義照会のレベルを大きく2つに分けて考えていますね。
1つ目は絶対に(といっても厳密にはそうでもないこともある)避けたほうが良い内容ですね。併用禁忌(の中でもかなり命に関わるもの)やロキソニン1回100錠、カリウム急速静注のようなものですね。基本的には入力ミスですが。こうしたものは、ちゃんと正しく直したほうが良いし、おそらく先生も処方を変更する場合が多いです。その時でも、忙しくないときに連絡するなどの配慮は必要ですが。
2つ目に、これが難しいんですが、変えたほうがより良いという場合ですね。この場合は情報収集をしっかりして、時間があれば処方医と丁寧に相談しながら考えてみるのが良いのかなと思います。「いやいや明らかに自分が正しいだろ!」と思っても、顔にそんな雰囲気を出さないように、ですね笑

それから、日頃から自分の言動を客観的に見るのが良いと思います。ちょっとした語尾など、「そんな細かいところまで!?」と思うことまで見直してみても良いのではないかなと思います。患者さんとお話するときも、そういったことを気を付けるように言われますもんね。電話するときは特に気を遣い、声のトーンをちょっと上げてみたり、最初に「お疲れ様です、今お時間よろしいですか?」と伺ったり、電話を切るときには、どんなにイライラするような内容だとしても笑、「ありがとうございました」と伝えたり、といったことは自分は意識していますかね。

内容を伝えるときは、避けないと患者さんの命に関わる内容以外は、選択肢を挙げて医師に選んで頂くような伝え方を意識しています。「こうしてください!」だと、処方権がない薬剤師が命令してくるように感じる医師もおられます。「こういう方法もあるんですが、いかがですか?」くらいの言い方の方が、いいのかなと思っています。状況によっては「こういう方法にすると、こういう良いことがありますよ。どうしますか?」という意味の、前向きな伝え方もしていたりしますね。


状況によって一筋縄ではいかないので難しいですが、どんな人とのコミュニケーションでも同じことが言えることもあるのかな。また数年後には違うことを言っているかもしれないけれど笑、自分では現段階ではこんなことを考えているという紹介でした。参考になれば幸いです。

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