医薬品のコードについて独断と偏見でまとめた話。

薬関係の話、結構書くの苦手なんですよねー。

…というわけで、今回はマニアックなコードの話をまとめてみました笑


医薬品を扱う仕事をしていると、いろいろな「半角英数字の羅列」を見ますよね。

これ、購入等の仕事をしていないと何が何やら…ですが、実は意味があったりします。

そして、うまく扱うと、医薬品の動きなどを見やすく整理することができるんですよね。

コードとは、その医薬品であることを認識するための半角英数字の羅列です。
パソコンで情報を処理する際、実はひらがな、カタカナ、漢字などの全角の言葉はパソコンにとって相性が悪いのです。パソコンは「あ」と「ア」と「ア」と「亜」をすべて別のものとして認識するんですよね。
例えば、「モサプリドクエン酸塩」、「モサプリドクエン酸塩」、「モサプリドクエン酸塩」はすべて別のものとして認識されます。

そして、この半角か全角かというのは、人間も入力の時に間違えますよね笑

そのため、医薬品に限らず、パソコン上で処理するときにはすべて半角英数字の羅列で当てはめて処理するのです。この識別番号をコードと呼びます。
ちなみに、数字の羅列を棒(バー)の並びと太さで表現したものを、「バーコード」といいますね。

そして電子カルテなどでは、医薬品それぞれにいろいろな情報を含んでいます。
名前、規格、剤形に始まり、様々なコードの情報も含んでいて、効率よく情報を扱えるように工夫されているわけですね。
こうした、パソコンであるソフトと取り扱うとき、それぞれの医薬品の登録されている情報を「医薬品マスタ」と呼んだりもします。

1)YJコード(厚労省コード)

ここから本題です。
詳しい情報については、参考にしたサイトを載せておきますので、そちらで…笑
ここではざっくりと。。
医薬品が製造販売の承認を得ると、国が「じゃあその薬にはこのコード」と当てはめます。これがYJコードです。
厚労省コードというのもほとんど同じです。若干違うこともありますが。
じゃあこのコードは何がわかるのかというと、

・薬効分類
・投与経路
・剤形

の情報を含んでいます。
例えば、サイトにも載っている、ロキソニン錠60mgのコードですが、

1149019F1560

となっています。
この中の「1149」は同じ薬効の薬であればすべて同じ数字となっています。イブプロフェンとか。
「019」の部分は、001~399までは内服薬ですので、内服薬なんだなぁということがわかります。
そして内服薬であれば「F」は錠剤を表します。
また、同じ成分と剤形であればアルファベットまでは共通するので、日本で取り扱いのある医療用医薬品の「ロキソプロフェンの錠剤」はすべてコードが「1149019F」で始まります。
つまり、パソコン内に入っているロキソプロフェンを抽出するときは、「ロキソニン」「ロキソニン」「ロキソプロフェン」「ロキソプロフェン」の4種類を検索するよりは、もしYJコードの情報を持っているなら、1149019Fで検索したほうが効率が良くなるわけですね。
経過措置や販売中止の医薬品を探す際、紙に印刷された一覧表の医薬品名称を目で探すよりは、YJコードで検索をかけたほうが確実になるわけですね。

2)JANコード(GS1コード)

JANコードはどの事業所のどの商品かを表す、世界共通の標品識別番号です。
世界共通の番号ですが、JANは日本での呼び方のようです。
商品すべてにつけられている番号なので、コンビニ等でアルバイトしたときにも馴染みのあるコードだったりします。そう、レジでピッと読み取るあれですね。
当然医薬品も流通する商品として、JANコードが割り当てられています。
このコードから分かる情報は、

・医薬品であること。
・メーカーの情報。
・包装単位が違えばコードは異なる。

となります。意外と少ない…?
まず、医薬品であれば共通で「4987」から始まります。そしてメーカーが同じであれば、そのあとに続く3桁も同じ数字となります。
ただあとの数字ついては販売されている包装それぞれでことなるため、「違うものだよ」と区別することのみ、できます。
例えば、「ロキソニン錠60mg PTP包装 100錠入り」と「ロキソニン錠60mg バラ包装 500錠入り」は違うコードになるわけです。
先のYJコードと違うのは、同じ商品名でも、包装が違えば違うコードになるということですね。
同じ薬局に、自動分包機用と調剤棚用とで分けて購入・管理するときにはJANコードを用いるわけです。

最近の医薬品業界では、JANコードではなくGS1コードを用いることが主流になってきており、JANコードはそもそも箱に印字されていないケースが多いです。
GS1コードは、2次元コードとしても用いることが可能で、JANコードと同じように「何錠包装か」だけではなく、LOT番号や使用期限の情報まで含むことができます。また、「販売包装単位」と「調剤包装単位」とで別のコードを持っていて、端的にいうと、「1箱」と「1錠」とで別のコードになっています。さすがに1錠ずつ印字はできない事が多いですが、注射薬のアンプルやバイアルには印字されているので、アンプルピッカー(自動でアンプルを取り集めてくれる機械)に充填するときには、1アンプルずつバーコードを読み込ませることもできます。
実際のところ、まだまだ医療機関側ではその情報まで用いるためのバーコードリーダーなどの設備が整っていないケースも多いですけどね。

3)HOTコード

このように、医薬品に関連するコードはいくつか種類があり、「すべての情報をうまく集約できないか」と考えられたのが、HOTコードというものになります。
HOTコードは、医療情報システム開発センターの医薬品コード検討委員会において検討が行われました。
HOTコードは全部で13桁の数字のみでできたコードとなっています。特徴としては、

・上7桁(HOT-7)は医薬品の成分の情報を持つ。
・上9桁(HOT-9)で販売会社の情報も持つ。ほぼYJコードと同等。
・上11桁(HOT-11)で販売されている最小単位の情報を持つ。ほぼGS1の調剤包装単位と同じ。
・13桁で、ほぼJANコードと同等。

といった特徴があり、読み取る桁数に応じてほしい情報の「深さ」が変わるという特徴を持っています。
ただし、他のコードと比べると比較的新しいコードでもあるため、従来のYJコードやJANコードを運用している施設ではシステムのアップデートの膨大さのためあまり運用されていないことも多いかもしれません。
うまく利用すれば、様々な情報の結びつけが楽にできるかもしれません。


他にもレセプト電算コードという、診療報酬・調剤報酬の請求のためのコードも存在します。これはちょっと自分も取り扱った経験がないため、どのような有用性があるかは述べずにおこうと思います。


「情報を制するものは医薬品を制する」ではないですが、こうしたシステム上の情報の取扱について理解が深まると、施設内での医薬品の流れをうまくコントロールできたり、ビッグデータの処理の際に医薬品情報をうまく結合させたり抽出させたりできるかもしれませんね。


いろいろな医薬品コード|情報で医療をささえる データインデックス株式会社

データインデックスは、電子カルテ、薬剤情報システム、ISPなどに様々な形で医薬品データベースを提供しております。


YJコードとは|医薬品情報なら医薬情報研究所

医薬情報研究所の医薬品検索は医薬品情報のYJコード検索が可能です。YJコードとは薬価基準収載医薬品コードの意で、薬価基準収載品目すべてに対して医薬情報研究所がコードの管理を行っています。


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