調剤技術というかミスらない工夫の話。

えー、薬剤師関連の話です。と、言っても、他の分野でも共通することはあるかもしれません。

近年、さまざまな分野でAI化について騒がれてますね。
薬剤師の分野でも例外ではなく、いろいろな仕事がAIに奪われてしまうのではないか、いやいやAI化は無理だよ人間がやろう、などなど、いろんな意見が出回っております。

個人的には…機械化できることはどんどんしていけば良いんじゃないの?という意見ですね。人間のピッキングよりも機械のピッキングのほうが明らかにミスが少ないし、24時間365日稼働できますしね。それで人間の時間が確保できれば、他にもっと頭をつかう仕事に専念できるし、使い方次第だなと思います。

ただ、そうは言ってもまだまだ先の話なイメージですね。いや、そんなこと言っている間にどんどん進むだろうけど、少なくとも今すぐには変化しない施設(病院、薬局etc...)がほとんどではないでしょうか。規模も経済力も施設によって差がありますからね。

そうなると、「今は」やっぱり人の力で調剤なり与薬カートへのセットだったりをする必要があります。人間たるもの、毎日安定した体力と精神力を持っているわけではないので、ミスは付き物ですよね。減らそうと思っても、ゼロにはならないと思います。もちろん理想はゼロを目指すんですけど…。自分もうっかりさんなところがある(らしい。自分では自覚があんまりない)ので、転職してすぐはなれない職場環境でミスを多発して、まじで自己嫌悪に陥ったりもしました。

そこで、自分なりにどうしたら調剤をわりと安定してできるようになるか、考えてみたので、まとめようと思います。科学的なエビデンスは全く無いので、実践すれば施設のミスが優位に減少するとか、そんなのではありません。個人の精神的な健康の維持のためと言うか、人間関係を良くするため、くらいの程度に読んでいただければ幸いです。

ちなみにかなり長いです。


1)「どんなミスをしたか」ではなく「なぜミスをしたか」を考える。

これは割と、指導者側がやっちゃいそうなことなんですけれど、ミスった後輩や部下がいた時にミスした事実を責めてしまったり、「もっと確認をしっかりしよう」というアドバイスをしてしまうことがあります。
「確認をしっかり」なんて伝えるのは、日によって体調が違う人間に求めてもあまりミスを減らすのに意味がないと思うんですよね。あ、「確認しっかり」という掲示を見えるところにするのは、人間が気を付けようと思うきっかけになるので意味はあると思いますが。いろいろなミスをするけれど、考えるべきは「再発させない」であって、そのためには「どういった理由で、どういった背景で、ミスが起きたか」と考えるのが大事なのかなと思います。

2)ミスには大きく分けて「知らなくてミスする」と「知っていてミスする」とがある。

たぶん、いろんな自己啓発本やビジネス本にも載っているとは思うので、今更感がありますが。

知らなくてミスするというのは、例えば新人さんに多いですね。錠剤の規格を間違えるミスは、「その薬は複数規格が採用されている」と知っていれば防げたミスかも知れません。ファモチジンが腎機能に応じて投与量を調節することを知らなければ、過量投与を見過ごすミスにも繋がります(さすがにファモチジンは知っててほしいけど、まぁ、一例ってことで…)。調剤内規は各施設によって違うので、内規の習得不足による調剤エラーもありますね。
こうした「知らなかった」「手技が不十分だった」ミスは、経験値も蓄積され、薬剤師として習熟してくれば「あれ、そうだっけ?」と未然に気付くことも増えてくると思います。そして、ミス自体を責めたり確認を促す意味もないことがわかると思います。

次に知っていたのにするミスですが、これが難しいです。慣れてきた時にミスするというのが一番わかりやすいですかね。知っていてもうっかり見落としてしまった。調剤で言うと、計数調剤のミスとかね…ロキソプロフェン1日3錠だと思っていたら2錠だったとか(疑義しろよというツッコミは置いといて…)。
こういうミスは、知識がないわけではないので、「ちゃんと覚えて」と責めても意味がありません。心理状況や集中力、そういったところが問題になることが多いんじゃないでしょうか。

3)解決策?

それで、じゃあどうしたら少しでも良くなるか。改善されるか。ですね。

知らなくてミスする場合、新人さんのどういうところが理解不足か、習得不足かを考えて解決していくのが手っ取り早いですよね。教育体制を見直して、「新人さんが知っているかどうか」の視点だけではなく、「先輩側が正しく教えているかどうか」の視点も大事だと思います。教えてないのにできるわけないですからね。それに、教えていない状態では「知っているか知らないか」も新人さんには判断できませんね。

知っているのにミスする場合、自分の心と向き合う、ことでしょうか。なんか、ここに来て、一気に胡散臭い感じが出てきましたが笑。自分自身の心理状況を、仕事の中でふと見直してみると良いと思います。今日は良い感じ、今日は疲れたな、今日はイライラしている、今日は眠いな…などなど。自分のコンディションが不調であれば、今日は2回見直してみようとか、誰かと一緒に確認しようとか、そういった「今の自分の心境に合わせた対策」を考えていくのも方法の一つかもしれません。周りの人としては、「人間はミスするもの」として、寛容な目で接することも大切な気がします。自分に優しく人に厳しいのはいただけないですもんね。

他に一般的な方法としては、複数規格などへの注意喚起の掲示や、人員が許せばチェックする人数を増やす方法がありますね。このあたりのよく知られている基本的な対策についてはリスクマネジメントの専門の人のほうが知っていると思います。

長くなりましたが、ミスった事実を闇雲に責めても精神的なダメージとトラウマを与えるだけで、根本解決にはならないなぁと思う次第です。

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